ちょっとサイエンス

 日常の中で、ちょっと気がついたこと、ちょっと気になったことを科学的に捕
らえて考察したいと思います。また、文化や言語に関しても同様に触れたいと思
います。           ご質問・ご意見もこちらで受け付けています。
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CONTENTS

  目次 
21. 天気と気分・性格31. 微量分析のはなし
22. 植物の病気と薬32. 得した気分・損した気分
23. 環境の保護と保全33. 発酵と腐敗
24. ヒトと蚊と蚊取り線香34. スタイルとは
25. 毒物混入事件を憂う35. 日本の中の時差と季差
26. 似非(えせ)エコロジストを駆逐しろ36. こころの薬
27. 人気投票あれこれ37. 恥ずかしさの人間学
28. 快適な空の空間を求めて・座席編38. 遺伝子組換え作物のこと
29. 快適な空の空間を求めて・小物など39. 感性と温度の関係
30. 年末という雰囲気         質問等もお寄せ下さい。

                 
  バックナンバー
 1. 時差ボケの解消法・メラトニン編11. 臭いの感覚
 2. 時差ボケの解消法・その他12. 些細な記憶
 3. 文化交流における統計論13. 毒とは 薬とは
 4. 文明とストレス(1)14. 地球温暖化を考えよう
 5. 文明とストレス(2)15. 肝臓はえらい
 6. 左側通行の科学16. 花粉症 大丈夫ですか
 7. 右脳・左脳と音楽17. アレルギーと寄生虫
 8. 見えるということ18. とっさの行動、言動
 9. 見るということ19. 二分の一、四分の一の文化
10. 味の物差し20. 今問題の環境ホルモン




21.天気と気分・性格                    

 穏やかな春の陽だまりに心落ち着き、爽やかな初夏の木もれ日に心晴れ渡りま
す。一方、静かに降り続く秋の長雨には気分も暗くなり、どんよりとした空に絶
え間なく舞う雪の日々には心塞ぎます。それだけ、天気が精神面に与える影響は
大きいのです。もちろん、高温、高湿度、低温、異常乾燥などは、身体的にも悪
影響を及ぼします。とりあえずここでは、心理面にしぼって考えてみましょう。

 南の国をイメージすると、燦々と降り注ぐ太陽の光と青い空と海、原色の動植
物、そして風通しのよい住居。暖かさで体もリラックスして、開放感いっぱいで
す。仲間と愉快に過ごすような感じです。一方北の国では、暗い空の下、冷たい
風が吹き交う中、独りモノクロの世界に同化してしまった姿が目に浮かびます。
おそらくほんの1日滞在しても、その雰囲気に気分が影響されるでしょう。それ
が、生まれ育った10年、20年という単位になると、変わりやすい気分よりも
深い性格まで十分に影響します。県民性、国民性といったものは、その地の気候
に由来する部分も大きいのです。                     

 雨や雪の日に交通事故が多い主な原因は、視界の悪さや、すべり易さであるこ
とは間違いなさそうですが、憂鬱など精神的影響も無視できないのではないでし
ょうか。また、夏の夜になると暴走族が群れて騒いだりするのも、熱帯夜という
気象環境が不快を招いた結果ではないでしょうか。天気と事故率とか、時期ある
いは気候と犯罪などの関係にきっと相関がありそうなので、調べてみるのもおも
しろいのではないか、と思います。                    

 住んでいる所の気候は選択できませんが、住む所は選べる場合もあります。交
通の利便性、治安、文化、地域性などの要因の他に、気候も住む所を選ぶときに
重要なポイントになると思います。特に老後は、昔生まれ育ったところに還る安
心感を求めるものよいですが、穏やかな気候の地を目指すのもよいのではないで
しょうか。                               
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22.植物の病気と薬                     

 植物は動物と同様に、進化の過程で、他の生物に対する防御能力を獲得してき
ました。その植物を食べる昆虫や病気を起こす菌やカビ、近くに生える別の植物
などに対して、毒性を持つ物質を産生します。それらの物質をヒトの病気の予防
や治療に用いるのが生薬ということになります。              

 人の手の入っていない原生林や原野などでは、たくさんの生物がバランスを保
って生活しています。しかし、食糧を生産するために田畑を耕し、動物を飼い始
めることで、自然のバランスが揺るぎ生態系が変化してきました。特定の植物、
作物がまとまった面積に植えられて育つという現象は、かなり偏った異常な生態
系といえます。ということは、農業という行為は環境を乱しているわけです。そ
の偏った生態系では、その作物を食害する昆虫や微生物にとって好ましい状況で
あり、大発生を引き起こします。人間が、菌・カビ・ウイルスの攻撃で病気にな
るように、作物も同様に病気になります。人間で、予防や治療のために医薬品が
用いられるように、植物にも用いられます。それが殺菌剤、農薬なのです。  

 93年は冷夏によって、米を含め農作物の生産が大きく落ち込みました。これ
は、日照不足による生育の悪さよりも、植物の病気が蔓延したことによる被害が
大きかったためです。凶作ながら、ある程度の収穫ができたのは、実は殺菌剤の
おかげだったのです。生薬、合成品に関わらず医薬品には、副作用や毒性の低い
ものから高いものまであります。同じように、殺菌剤を含む農薬も、環境への作
用や哺乳動物に対する毒性は千差万別ですが、そうした影響や毒性の少ないもの
の開発によって切り替えられています。医薬品でもサリドマイド禍のようなこと
が起こったように、有機塩素系農薬の長期残留が問題となりました。それぞれ、
その教訓をもとに安全性を追求した開発がなされています。また、医薬は「薬」
農薬は「毒」というイメージが広がっていますが、両者ともに毒であり、同時に
薬であるのです。 [13. 毒とは 薬とは]をご参照下さい。         
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23.環境の保護と保全                    

 高度経済成長に伴って生じた「公害」というものが日本で認識されて三十余年
がたちました。環境に対する市民の意識も高まり、それによって大型の予算を伴
った科学研究が進められ、多くのことが明らかとなってきました。そうした状況
の中、あらたにダイオキシンや環境ホルモンなどの問題も出てきました。   

 環境問題が社会的に取り上げられると、人類文明の繁栄が元凶であるのでそれ
以前の状態に戻ればその問題は克服されるに違いないという考え方も出てきまし
た。環境に対して人為的に手を加えないというのが、純粋な保護の立場です。し
かし一旦、人類が食糧生産のために田畑を耕し、動物を飼い始めた時点で、天然
自然の生態系に変化を与えていますから、純粋な自然保護のためには、農業活動
をも放棄しなければならないことになります。さらに、地球レベルでの砂漠化、
身近なレベルでの河川の水害も、それらは自然のありのままの姿なので、放置す
べきということになるかもしれません。これに対して、気象などによって起こる
自然の脅威に対策を取りつつ、環境を保とうというのが保全ということになりま
す。人間が考えて行うことですから、必ずしもよい結果をもたらすものではあり
ません。過剰な河川・河岸整備による野生生物の絶滅、画一的な植林による生態
系の変貌が起こったのも事実です。                    

 ただ自然を守ればいいわけでもありませんし、文明に奢って、保全の名の下に
人類の都合だけで環境を改変してはいけません。両者のバランスこそが重要なの
です。時代が経ってみると愚かなこととなるかもしれませんが、その時、その時
で、最新の科学知見と技術を以て真剣に取り組む必要があります。同時に、環境
問題はマスコミによって感情的に取り上げられやすいので、根拠あるデータに基
づいた情報を集め、冷静に内容を吟味する能力が現代人に求められます。   
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24.ヒトと蚊と蚊取り線香                  

 蚊が減ってきました。というより、蚊に刺される機会が減ってきたのでしょう
か。まず、やぶが少なくなり、道端のどぶが蓋をされました。そして、住宅は平
屋から高層となり、昔は木枠で隙間の多かった玄関や窓も、隙間のないサッシに
取って代わって、室内に蚊が進入しにくくなったのです。風情のあった蚊帳を吊
る必要もなくなりました。ヒトと蚊の関係で変わったのは、蚊の繁殖環境と住居
の遮断性だけではありません。                      

 蚊に刺されかゆくなるという身体的被害のほかに、耳元での蚊の羽音だけで刺
される不安感という精神的ストレスも小さくありません。夜、寝入りばなにプ〜
ンとたった1匹の小さな蚊がやって来ただけで、目が冴え渡ってしまい寝付けな
くなったという経験はありませんか。蛇に咬まれるような危険など無いのに、な
ぜ緊張感が走るのでしょうか。おそらく、ヒトと蚊の関係の長い歴史の名残では
ないかと思います。現代の日本ゆえ危険でないだけで、蚊に刺されることは蚊の
媒介するマラリアなどによって生命の危険を脅かし続けてきていたわけです。 

 さて、ヒトと蚊の関係といえば蚊取り線香もあります。蚊取り線香といえば、
本来は除虫菊を乾燥させて固めたもので、その成分はピレスロイドと呼ばれる化
合物群です。戦後、さらに哺乳動物に対する毒性の低い合成ピレスロイドが開発
されました。その成分を2,3センチメートル四方の小片に染み込ませ、小型の
電熱器で蒸散させる電気蚊取り器ができ、さらに最近では、液状で長期にわたっ
て供給できるものも出てきました。電気蚊取り器は人工的に合成された化合物を
使っているから、天然の蚊取り線香の方がよいに違いないと思っている方がいま
す。箱に表示された成分を見ていただければ分かりますが、蚊取り線香にもアレ
スリン、レスメトリンなどの合成ピレスロイドが添加され、効果が強化されてい
ます。見た目とにおい、持続時間が違うだけで、成分には大差がないのです。 

 都市化で、蚊が年中繁殖するようにもなってきました。ヒトと蚊の関係は、こ
れからどう変わっていくのでしょうか。                  
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25.毒物混入事件を憂う                   

 和歌山で夏祭りのカレーに毒物が混入され死者が出て以来、連鎖的に同様の事
件が相次いでいます。ある特定の人物やグループに殺意を持ったり、社会に個人
的な不満をぶつけるためだったり、ただ世間を騒がせたいだけだったり、と動機
はいろいろでしょう。しかし、社会のルールを無視し特定あるいは不特定の他人
を病気や死に至らしめているのにも関わらず、陰でほくそ笑んでる犯人の姿を想
像すると大きな憤りを感じます。                     

 もちろん毒物は、法律によって所持や使用が制限されています。法律とは人間
社会の中での最低限の取り決めですから、不備もたくさんあるでしょう。地下鉄
サリン事件以降、新しく法律もできました。以前に[13. 毒とは 薬とは]で、
毒は薬になり、薬も毒になることを示しました。毒性のあるものを全て法律で規
制しようとすると、身の回りのありとあらゆる物質が対象になってしまいます。
今回の一連の事件では、用いられた毒物薬物は3つに分類できそうです。まず、
ヒ素(亜ヒ酸)や青酸化合物といった毒性も高く、法律によってかなり厳しく管
理され、一般には出回りにくいもの。次に、一部の法律によって規制されている
が、市販されている劇物や農薬など。そして、規制がほとんどかからない消毒薬
や防腐剤などのグループです。                      

 規制を厳しくすれば解決する問題ではありません。自作自演で被害者を装った
り、毒物事件への不安が過敏になって異物が混入されていないのに嘔吐などの症
状が現れたりするようにもなりました。まずは犯人が検挙されルールに基づいて
裁かれなければなりません。毒物を保有している所では適正な管理が必要です。
しかし何よりも、ストレスの多い社会の中ではあるけれど精神的健康を維持し、
陰湿で自己中心的な企てなど育たない社会を築く責務があることを認識する事が
大切です。                               
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26.似非(えせ)エコロジストを駆逐しろ          

 環境問題に社会的に取り上げられ、関心を持つ人が増えました。しかし、依然
関心を持っていない人、少し関心はあるけれども特に何も心がけていない人が多
数を占めるのではないでしょうか。一番たちが悪いのが、流行を追った一種のお
しゃれのように、その問題に関心を示す人たちです。そんな似非(えせ)エコロ
ジストは駆逐されなければなりません。                  

 排気量の大きなRV車に乗ったり、駐車中にエンジンとエアコンをかけっぱな
しにする。使っていない部屋の電灯や観ていないテレビをつけたままにする。リ
サイクルできるガラス瓶より軽い容器を選び、平気でそこここに捨てる。ゴミ処
分場や焼却場の建設には反対しながら、ゴミを減らす努力しない。さらに、全く
もって「けしからん」と思うのは、自分のすることはいいけど他人のことは認め
ない連中。例えば、自然保護を唱えているにもかかわらず、自分では保護区に自
動車で乗り付けたり、希少種の生物を採集したりする輩、などなど。     

 では、環境問題としてどのようなものがあるか整理してみましょう。14.で
触れた地球温暖化、硫黄酸化物・窒素酸化物による大気汚染、フロンガスで生じ
るオゾン層破壊、重金属・有機塩素化合物・有機リン化合物による河川・湖沼・
地下水汚染と土壌汚染、生活排水による水質汚濁、20.で取り上げた環境ホル
モン、一般および産業廃棄物処理の問題と悪臭公害、騒音・振動の公害、と代表
的なものだけでもたくさんあります。                   

 まず、関心を持つことは確かに大事です。しかし、その次の一歩、どう考え、
どう取り組むか、各自の行動が求められます。本当に関心を寄せるなら、さらに
科学的根拠に基づいた情報を得ることから始めましょう。そして、個人や家庭で
もできそうなことから行動しませんか。                  
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27.人気投票あれこれ                   

 人気投票って注目を集めるんですね。「人気投票」自身が人気なんです。テレ
ビや新聞・雑誌で数多く取り上げられています。最近では、インターネットでも
あれやらこれやら、わんさとあるようです。                

 「世論調査」も実は人気投票です。どの政党が人気なのか、どの政治家が人気
なのか、が数字で表されます。ここでおもしろいのは、設問が「次の選挙ではど
の政党(あるいは、誰)に投票しますか?」となっている点で、それは必ずしも
一番に選ばれた政党が一番優れていると考えられているわけでもなさそうです。
政治家にしても、政治家を職業とする人の中のイメージによる人気で、政治家と
しての評価ではありません。しかし、世論調査は大きく選挙の結果に反映するの
で、選挙の投票も人気投票に過ぎないのかもしれません。          

 人気投票(ベスト)に対して不人気投票(ワースト)というのもあります。こ
のワーストの方が人の目を引くというのはおもしろいことです。また、ベストで
は好みが分かれるのに対して、ワーストでは比較的票数がまとまるようです。人
気投票くらいなら、それほど真剣にならなくても構いませんが、統計には多くの
不備な点があります。どれくらいのどんな人たちに訊いたかによって、結果は全
く異なります。また、質問の方法や選択肢の設定によっても大きく数字が変わっ
てきます。出てきた統計の扱い方でも左右されるので、実施者、対象者、公表者
を見極めて、怪しい数字に踊らされ、惑わされないようにして下さい。    

 一番おもしろいと思ったのは、アメリカでの人気車種は盗難に遭った車種の順
で公表されていました。ちなみにカリフォルニア州の州都サクラメントで98年
10月発表分では、1位:ホンダアコード、2位:トヨタカムリ、3位:オール
ズモービル(車種は忘れました)、4位:ホンダシビックなどと日本車が10位
以内に6車種が登場していました。                    
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28.快適な空の空間を求めて・座席編            

 最近の不景気にもめげず、海外旅行がブームです。国内の旅行に比べ、宿泊や
食事の値段も一般には海外の方が安く、日本人のブランド指向をターゲットとし
たショッピングに集まる人も多いようです。着いてから発つまでの現地のことは
あれこれ勉強しているようですが、往復の飛行機の中のことはどうでしょうか。
空の上で過ごす時間は窮屈で退屈だけれど仕方がないと思っている人が多いかも
しれません。少しでも快適になる方法を考えてみましょう。         

 もちろんファーストやビジネスなら、座席もゆったりしているので疲れ方も少
ないでしょう。座席数から考えてもほとんどがエコノミーですから、こちらを対
象としましょう。さて快適さを望むなら、チケットを予約し買う時から注意しま
す。数時間から十数時間のフライトでは食事をし寝るのが普通なので、トイレに
立ちやすい通路側が気が楽です。エンジン音は一般に後部に行くに従って大きく
なるので、前の方が静かです。それらから希望の座席を考えるとよいでしょう。

 格安航空券なら、当日空港でチケットと一緒に座席が指定されたボーディング
パスを渡されてしまいます。格安航空券でも、前もって着払い宅配便で届けてく
れるところがあります。便の指定が可能なら、直接航空会社に電話して座席の指
定をだめでもともとなのでお願いしてみましょう。友人や家族と一緒の時は席が
並びになるよう、特に子供と一緒の時は早めにそれを伝えておきます。当日まで
に座席が決まらなかったら、空港へ早く行ってチェックインカウンタ(出国前、
荷物を預けるところ)でこちらの希望をお願いします。それがだめな場合でもボ
ーディングカウンタ(出国後、飛行機に乗る直前のところ)で、座席の入れ替え
を行っているときがありますから、頼むだけ頼んでみましょう。あわせて、食事
も幼児用、子供用、それから特定の食材を含まない宗教食や、病気の人のための
特別食なども可能な場合があります。必要なら航空会社に問い合わせて予約して
おきましょう。                             
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29.快適な空の空間を求めて・小物など           

 飛行機の座席で快適に過ごすためには、服装や小物にも気を配りましょう。長
時間のフライトでは、スーツなどあまりかっちりした服装でないのがよいでしょ
う。第一、長時間座っていてはしわになります。かといって、自宅での部屋着ほ
どの格好では軽蔑されても仕方ありません。また、着席と同時に靴を室内履きの
スリッパに履き替えると楽です。                     

 眠るためには、エンジン音を遮断する耳栓やスクリーンの光に邪魔されないア
イマスクが役に立ちます。のどが渇いた時のために少しの水かお茶を持った方が
よいでしょう。離着陸時や揺れが大きい時、忙しい時には持ってきてもらえない
からです。コインの管理にはカメラのフィルムのケースを用意しておくと便利で
す。訪れる国の数だけ用意して、国境を越える度に前の国のコインを片付けてい
きます。帰国するときは、最初に片付けた日本のコインを財布に戻せば、電話や
自動販売機をすぐ使えます。2度目の旅行からは、持ち帰ったコインの入ったフ
ィルムのケースを持参し、順次入れ替えれば混乱することもありません。   

 退屈しないためには、文庫本やコンパクトCD、MDプレーヤー、ウォークマ
ンなどがあるとよいでしょう。だたし、離着陸時の使用制限には従う必要があり
ます。携帯電子ゲームも暇つぶしによいかもしれませんが、音を消し周囲に迷惑
をかけないようにします。出張などでノートパソコンを持参するなら、論文や報
告書などの仕事や、プライベートの物書きができます。さらにCD−ROMドラ
イブが付いていれば、CDプレーヤーを持参しなくても音楽CDを聴くことがで
きます。                                

 時差ボケに関しては、時差ボケの解消法 1. 2.をご参照下さい。タオル、ひげ
剃り、化粧品なども機内に持ち込み、到着後、顔を洗い、身だしなみを整えまし
ょう。最後にクールタイプの目薬でもさせば時差ボケ解消の助けにもなります。
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30.年末という雰囲気                   

 1998年もあと1ヶ月。時間は同じように流れているのに(はずなのに)、
速く感じたり遅く感じたりするものです。特に年の瀬は「師走」の言葉に代表さ
れるように、慌ただしく浮き足立った感があります。ではどうしてでしょうか。

 日本において、正月はとても大事な特別なイベントです。その正月を滞りなく
迎える準備をしなければなりませんし、仕事にも区切りをつけなければならない
という習慣が定着しています。商習慣においてその傾向は強く、年末に向け大い
に商売をして、年を越す前にきっちり集金するというのが一つの形となっていま
す。そのため、今のように不景気なときには、支払いに猶予のできない年末に金
策に駆けずり回り、倒産する会社が出てきたりもします。このプレッシャーから
生じる慌ただしさもあるでしょう。                    

 その商売から来る雰囲気が、世間にも蔓延します。一方でカレンダーの功罪も
あります。月日は一次元(直線)的に流れているのに、カレンダーは、週、月、
年が、2次元(平面的なまとまり)として示されています。標準的なカレンダー
は1年1冊ですので、12月にもなると、後(次)が無い、大晦日まであと何日
しかない、という視覚的な要因も生じます。さらにテレビラジオで、「今年もあ
と何日です。どこそこでも慌ただしさを増しています。」と繰り返し伝えられま
す。それらが総合的に、社会全体の慌ただしさを形成しているようです。   

 さて、アメリカでのはなしです。9月に新年度が始まり、10月末のハロウィ
ンに向かってテンションが高くなっていきます。その後は11月下旬の感謝祭、
12月のクリスマスに向かって、雰囲気は落ち着いていくような感じを受けまし
た。感謝祭にしても、クリスマスにしても、家族で集まってゆったりとした時間
を過ごすものです。メインはもちろんクリスマスなので、新年はあっさりしてお
り、元旦こそ祝日ですが、2日からは、普通どおりの仕事の日々です。アメリカ
での年越しを何度か経験しましたが、日本文化に慣れ親しんだ者には違和感のあ
る年末・年始でした。                          
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31.微量分析のはなし                   

 ダイオキシンなどの環境中の毒物が、毎日のようにTVニュースや新聞を賑わ
しています。それだけ生活を脅かし、社会的関心も盛り上がっていることにほか
なりません。では、それらの毒物をどうようにして分析しているのでしょうか。

 最初は、分析したいものの量に応じて色が出るような化学反応を利用する測定
方法が開発されました。この方法では、微量の分析はできませんし、分析したい
ものに似た性質のものが混在すると正確には計れません。次に、各種の機器によ
る分析方法が登場しました。ガスクロマトグラフィーに代表されるように、似た
性質のものを分離すると同時に、微量の定量を行う方法です。化学反応による分
析に比べれば分析できる量は数ケタ小さくなりました。しかしそれでも十分な分
析能とはいえず、ここでも混在する物質に妨害されることもあります。    

 近年では、生物の能力、すなわち免疫を利用した方法が台頭してきました。免
疫は、ある種の抗原に対して特異的な抗体が産生されることによって起こるシス
テムです。そこで、分析したいものを抗原にして、ウサギやマウスに抗体を作ら
せ、その抗体を用いて定量するのです。生物は偉大で、機器分析に比べるとさら
に数ケタ小さいごく微量を分析できる例も出てきました。それぞれの分析方法の
特徴を生かし、幾つかの組み合わせで正確な微量分析が可能となりました。  

 微量分析の技術が進歩すると、今までは検出されなかったものが、検出される
ようになり具体的な数字が出るようになりました。ダイオキシンのように本当に
ごく微量でも毒性がある場合は、その数字は重要な意味を持ちます。しかし、数
グラム食べても毒性を示さない化合物でも、例えば農薬として利用されている場
合などでは同様に扱われている現状に疑問を抱かずに入られません。検出された
ものが問題にならない量であっても、検出されたことだけが一人歩きをしている
ようです。                               
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32.損した気分・得した気分                

 年末から年始にかけては、商店(街)の福引き、年末ジャンボ宝くじ、くじ付
き年賀はがきなど、抽選結果に一喜一憂しています。当選すれば得した気分にな
るのは当然です。下位の当選やはずれの時には、どうでしょうか。期待が大きけ
れば大きいほど、損をしたという意識が強くなります。           

 景気回復策としての減税は、実際の減税額よりも、「税金が戻ってきた、得し
た(かもしれない)」というイメージをどれだけ与えられるかがポイントになり
ます。本当の減税ではありませんが、スーパーや小売店などの「消費税還元セー
ル」というものが、その良い例です。目玉特売品を設定する変わりに、全小品を
対象に5%オフとすることで、実質の値引き額の総額は変わらなくても、「得し
た気分」を与えることで、売り上げを伸ばしています。無責任な発言を許してい
ただけるなら、政府が「期間限定、3ヶ月消費税3%」なんていえば、その期間
は消費がかなり延びるではないでしょうか。消費税が3%から5%となる直前の
世間の動向を振り返れば分かります。まあ、国家と経済のことですから、近視眼
的であったり、いい加減なことはできませんが、場合によってはショック療法も
必要です。                               

 さて福引きやくじなんて、はずれて元々、当たれば儲けもの、くらいのもので
す。些細なことで損した気分になることが、本当の「損」なのです。車を運転な
どでも同様です。無理な割り込みをして自分でもヒヤヒヤしたり相手に不快な気
分を与えるよりも、さきを譲ることで譲った自分も譲ってもらった相手もいい気
分を感じる方が、「得」であることはいうまでもありません。何でもプラス思考
でいきましょう。                            
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33.発酵と腐敗                      

 鏡餅に赤・青などカラフルな斑点ができたり、食べ物が腐ったりするのは、微
生物の働きによるものです。その微生物の作用には発酵と腐敗があり、その多く
は嫌気的に(酸素のない状態で)、物質が変換されることです。発酵は、味噌・
しょうゆ、酒、酢から、納豆、チーズ、ヨーグルトのように人にとって有用なも
ので、腐敗は迷惑なものというようなイメージが強いと思います。発酵は炭水化
物(糖類で窒素を含まないもの)が分解されること、腐敗は窒素を含んだタンパ
ク質などの有機化合物が分解されることです。腐敗分解によって生じる物質には
アミノ酸などから臭いアミン類や硫黄化合物を生じます。          

 発酵は、上に挙げた例のように古い歴史を持つものがたくさんあります。日本
は温度湿度ともに微生物の繁殖に適した気候なので、その利用技術も進んでいま
す。さらに最近では化学調味料(味の素など)のグルタミン酸ソーダなどのアミ
ノ酸もアミノ酸発酵で得られます。同じく旨味成分で植物性のグアニル酸(しい
たけなど)や動物性のイノシン酸(カツオ節など)は核酸の一種ですが、これら
も核酸発酵によって得られているのです。                 

 そのほかの微生物を利用した物質生産では、ペニシリンに代表される抗生物質
がもっとも有名です。そのほかにもメタンやエチレンといった炭化水素がエネル
ギー源となることで注目されています。さらに近年では、有用なタンパク質やペ
プチドを大腸菌で作らせる方法が確立されました。そのタンパク質やペプチドを
コードする遺伝子を大腸菌に組換え、生産させるのです。そうすることで、わず
かしか得られなかったものが、大量に得られ利用されるようになったのです。 

 腐敗に関連して、かびが産生する毒の問題もあります。天然に存在する毒の中
で最も毒性が高いのがかび毒なのです。肝臓毒で発ガン性のアフラトキシンや神
経毒のボツリヌストキシンなどもあるので、十分に注意しなければなりません。
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34.スタイルとは                     

 スタイルというと日本語では、見た目の容姿のイメージが先に出てくるかもし
れません。しかし、見た目、容姿を表す英語は Figure (フィギュア)で、英語
でのスタイルは、様式とか形式を意味します。例えば、ライフスタイル=生活様
式のように。                              

 個人や集団において、固有なかたちとして定着したものといえるでしょうか。
「くせ」とか「やり方」とも言い換えられます。生活の習慣、仕事の進め方、考
え方、文章の語り口など、いずれもそれぞれの人にスタイルが存在します。子供
から大人へと成長し、その中である一定の思考回路に収束することによって、ス
タイルがかたち作られるのです。ある意味、頭が固くなっていくのですね。日本
で、会議において自由に席を選べる場合でも、時間とともに座る場所が固定して
きます。そして、同じ人が同じ様な発言をし、会議は形骸化してしまいます。そ
んな風に凝り固まっては、新しい建設的な意見は出てきません。座る位置を変え
る、開催場所そのものを変える、あるいは、時間帯を変える、参加者を入れ替え
るなど、ちょっとした工夫で新鮮な雰囲気が与えられ、それまでにはなかったよ
うな意見や結論が出て来る可能性もあります。もちろんそれは会議だけではあり
ません。個人でもアイディアに詰まった様な場合、旅行に出たり、普段しないよ
うなことをして気分転換をしたり、家の中の模様替えをすることで気持ちを切り
替えたりすることができます。                      

 人は安定を好みますが、時には変化がよい効果を生みます。定着したものがス
タイルですが、意識的に変えることは可能です。年を取ってもおとなしい地味な
服ばかりを着ず、色彩的に明るい格好をすることで気分も明るくなります。スタ
イルと容姿を切り離して考察してきましたが、考え方や生活のスタイルは大きく
容姿に影響してきます。前向きに楽しく、かつ創造的になるよう、ちょっとした
イメージチェンジを計ってはいかがでしょうか。              
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35.日本国内の時差と季差                 

 日本は島国で総面積は小さいのですが、東西にも南北にも長い国といえます。
その東西南北に長い国でも、同じ時間帯を使っているので、いろんなずれが生じ
ます。例えば、東京と福岡では、緯度が同じとして日の出や日没に40分くらい
違うように実質的には時差があるのです。兵庫県明石市を基準とする時間帯です
から、それより東は日の出・日の入りに対して数十分の早寝早起きを、西ではそ
の逆の時間で生活していることになります。                

 季差とは、極端な例なら北半球と南半球(日本とオーストラリア)のように同
じ時に、季節が異なることです。日本の中でも、もちろん北と南では気候が異な
り、季差があります。北日本でまだ雪がある時期に、沖縄では、海開きするよう
なものです。                              

 春は、花の時期。特に桜の花は日本人の心を和ませます。桜前線、これも季差
の一例といえましょう。理科年表で、平年の梅の開花日、桜の開花日・満開日を
福岡、東京、札幌で比べてみましょう。                  

     福岡   東京   札幌        福岡  東京  札幌 
梅    2/5  2/2  5/6                  
桜(開花)3/28 3/29 5/5  桜(満開)4/4 4/7 5/9

意外にも梅は福岡より東京の方が早いようです。桜も、開花は1日しか違わない
のに満開日は3日違うので、東京の方が咲いている期間が長いことになります。
札幌でははるかに遅いですね。そして、桜が梅を追い越してます。札幌の人には
梅と桜が同時に咲くのは当たり前なんでしょうか。             

 北海道や沖縄は、その他のところに比べるとかなりの季差がありますが、微妙
な季差を調べて感じたことは、季節感も東京中心だということです。入学式に桜
が満開というイメージも、東京:4/7からうなずけます。平均的な日本のイメ
ージは、未だに江戸の文化や感覚に引きずられているのでしょうか。     
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36.こころの薬                      

 人のこころは、科学的にも分からないことだらけです。こころに安らぎを与え
る音楽や文学、美術などの芸術は、こころの薬と呼べますが、ここでは精神作用
に影響する薬物について触れます。                    

 こころは脳、中枢神経の働きによります。その中枢神経に作用して、精神機能
に影響を与える薬物群は総称して向精神薬と呼ばれます。アルコールや、モルヒ
ネ、マリファナなどももちろん精神に作用します。しかし狭義の向精神薬は、幻
覚など異常を与えるそれらを含まず、精神障害を治療する薬物を指します。中枢
神経では、内在性のドーパミン、エンドルフィンなどの物質が機能しています。
それらの物質が機能するためには、物質を認識する部位(受容体)に結合しなけ
ればなりません。内在性の物質に似て非なる薬物は、内在性物質と全く同じ作用
を持つものもあれば、反対の作用のものありますし、やや違う作用をするものま
であるのです。それらの作用を利用して、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗
躁病薬として用いられています。                     

 最近では子供たちに、注意力がなかったり、落ち着きがない注意欠陥・多動性
障害というものが世界的に問題になっています。それは、社会やしつけ・教育に
よるものではないようです。その障害に効く治療薬があるからで、内在性物質の
一つであるセロトニンの濃度を調節しているらしいことも分かってきています。
それらの狭義の向精神薬は、覚醒剤や麻薬と同じ様なしくみで作用するものもあ
ります。しかし、常習性がないもの、少ないものが開発されています。    

 酒に酔うのは、中枢神経のある受容体にアルコールが結合するためなので、ア
ルコール中毒の予防・治療に薬物が開発されました。その薬を飲んでおけば酔わ
ず、酔っていてもその薬を飲むことで脳は”しらふ”の状態になります。でも、
アルコール中毒患者はもちろん、健常者でも飲んでも酔わないので、たくさん飲
んでしまいます。脳への作用はなくなっても、解毒分解する肝臓には大きな負担
がかかり、肝硬変等の肝障害を助長するため、実用化は断念されました。   
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37.恥ずかしさの人間学                  

 恥ずかしいという気持ちは人間に特有で、物心がついてくるのとともに現れて
きます。そして誰しも、その恥ずかしさというものを持っていて、当たり前の感
情なのですが、よく考えてみると不思議な心の働きなのです。不思議じゃありま
せんか?                                

 では、どういうときに「恥ずかしい」と感じますか?見られることを予想して
いないときに人に見られたり、大勢の前で転んだり、話をしてとちったり、何か
失敗したり。どうでしょう、どれもみな、人に見られ、人前だから、恥ずかしい
のです。自分一人の部屋の中なら、あるいは、無人島に一人たどり着いたなら、
何も恥ずかしいことなど無いんです。あくまでも他人と自分との相対的な人間関
係の上に成り立っているのです。不思議に感じませんか?          

 その相対的な関係とは、精神的にどちらが優位か、ということなんですね。社
会的関係は関係ありません。寓話”裸の王様”で分かるとおりです。例えばピア
ノ、例えば英会話。上手・下手を知っている人の前では緊張して恥ずかしいので
すが、ピアノのこと、英会話のことを全く知らない人の前では、恥ずかしさを感
じません。上手・下手を知っているかどうかを計りかねる場合は、探り合いにな
ります。どちらが優位なのか。(笑) もちろん日本の社会では特に、相手が優
位であれば、緊張が増し、恥ずかしさを感じる度合いが強くなります。    

 裏を返すと、相手との距離をどう考えているか測ることができるのです。知ら
ない人、面識のない人には恥ずかしさも覚えても、心理的距離が近くなるにした
がって、その程度が減ります。例えば、男女の間。恋愛感情が芽生え、付き合い
婚約、結婚、と、歴史が長くなると恥ずかしさも次第に感じなくなります。相手
の前で、化粧を落とし、オナラをし、下着姿でウロウロし、だんだん遠慮しなく
なるのです。いろんな人と自分との間を再考してみると新しい発見があるかもし
れません。どうです、不思議な感覚でしょう。               
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38.遺伝子組換え作物のこと                

 農作物は交配(掛け合わせ)によって、環境に強いものやおいしいものを選抜
してきました。それが最近では、それらの性質の情報を持つ遺伝子が見つかって
きて、さらにいろんな遺伝子を切ったり張ったりして、農作物に遺伝子を組換え
ることができるようになりました。遺伝子はタンパク質を作るための設計図で、
組換えることでそれまで作らなかったタンパク質が作られるようになります。 

 アレルギーは、おもにタンパク質に対して起こります。牛乳、卵、ソバなどの
アレルギーは、それらに含まれるタンパク質が、アレルゲン(アレルギーを引き
起こすもの)になりますから、むやみに遺伝子を組換えるのは危険です。それで
組換え遺伝子から作られるタンパク質がアレルゲンとして知られるものに似てな
いかチェックされます。これは組換え作物を作る企業が実施しており、一応安全
であるようです。一方、遺伝子が作るのはタンパク質ですから、タンパク質以外
のものを食べる場合は問題がありません。例えば、ナタネ油や大豆油などです。

 基本的には、遺伝子を組換えた場合、その部分だけが変化します。したがって
その遺伝子と、それから作られるタンパク質だけを気にすればよいことになりま
す。遺伝子を組換えたことで、他の遺伝子から作られるタンパク質に影響はない
とされています。また、作物は野外で育てられますが、野外でそれらの遺伝子が
他の生物に広がることはまず考えられません。しかし、それらは、これまでの科
学や技術を最大限に駆使して、影響がないとされていることで、”安全”と宣言
されることですが、それは絶対にないと保証するものではありません。放射線の
危険性も、はじめは分かっていませんでしたし、DDTなど急性毒性はない殺虫
剤が、環境に大きく影響することが分かって使われなくなった歴史もあります。

 実験的に証明できないからといって、それが絶対ではありません。特に危険性
に関しては、過大に評価しておくのがいいようです。現代のシステムでは、安全
性第一で、危険性を最大に見積もるようになっています。しかし、企業での医薬
品開発におけるデータ改竄や、厚生省のエイズ汚染血液製剤事件の時のように、
利益や政治的なことが絡むと、そのシステムがちゃんと機能しなくなる場合もあ
ることを心にとどめておかないといけません。               
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39.感性と温度の関係                   

 21.天気と気分・性格の内容に関連してメールを頂きました。「映画館って
どうして涼しいのでしょうか。私は肌寒いとまで感じるのですが・・・。 もし
かして映画を観るのには涼しい方がいいのでしょうか。ホラー映画なんかだと涼
しい方が怖く感じるような気もします。温度(室温)と感情の起伏って関係があ
るのかな?」 フム。私もちょっと考えてみました。            

 秋は、スポーツに読書に芸術に、何をするにもいい季節です。そしてそれらの
多くは、秋という温湿度環境に影響を受けているのです。前に紹介しましたよう
に天気や気温が心理面に与える影響は小さくありません。暑いと緊張感もなく、
だらけて感覚も鈍ってきます。芸術には、やや寒いくらいの方が神経も研ぎ澄ま
され、生じる細やかな感性が望まれます。それが”芸術の秋”の由縁でしょう。
”食欲の秋”では、実りの秋で旬の食物がたくさん獲れるのが一番の理由でしょ
う。しかしここでも、味覚や嗅覚といった感性が豊かになる季節に重なっている
ことを忘れてはなりません。芸術というと美術(視覚)や音楽(聴覚)だけが取
りざたされますが、味覚や嗅覚を対象とした美味しいものを頂くことだって芸術
です。うまいのものを食べ、うまいものを飲み、大いに楽しんで、美術や音楽と
同じレベルで秋を満喫しましょう。                    

 さて、映画館です。空調で人為的に環境を設定できますから、温度をやや低め
に設定しておいた方が、感性が豊かになるはすです。ホラー映画だって、ひんや
りした空気の中で観ると怖さは倍増するのではないでしょうか。映画館のほかに
も、会議室は低めに設定しないと眠ってしまいます。逆に休憩室はリラックスで
きるように気持ちだけ暖かい方がいいのでしょう。自宅で映画を見るときにも、
やや寒めにして観てはいかかでしょうか。受ける感銘も大きくなるかもしれませ
ん。                                  
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